前回に続き稲刈りのお話です。
機械化によりとても効率的になった農作業ですが、全てがうまくいくとはかぎりません。このことを稲刈りで考えてみます。
現在の水稲栽培では秋の稲刈りのあと天日干しという乾燥作業はほとんど行われていません。前回紹介したように僕もほとんどを専用の乾燥機を使って水分を落とします。機械の設定をマニュアル通りにするとかなり高温になり1日で乾いてしまいます。
この高温にさらされることで来年の種籾の発芽率が少し落ちると聞いたことがあります。農薬や肥料を使わない栽培では苗の出来が大きく影響します。一般的な苗作りより1枚の苗箱に播く種籾の量を極度に少なくするのですが、そのようにすると少しでも発芽しない種籾があると具合が悪くなります。たくさん播けば多少発芽しなくても気にならないのですが、今のところそれではいい苗は出来ません。
そのようなことから来年播く種籾は天日干しで乾燥します。より良くできた株を選び鎌で刈っていきます。それを束ねて2つに割ってはさかけしていきます。今回は昔の花屋友達が手伝いに来てくれました。さすが花屋さん束ねるのがうまい!
それを眺めながらこの種籾がまた来年芽を出しお米になることを想像します。こうやって日本の水稲栽培は何千年も続いてきたのだなと。ある意味食べ物を作ると同時に”種を作り繋いでいる”ことでもあるのだと少し大げさに思ってみたりもしています。