5月25日前後、この週は僕にとって特別な週です。田植えをする週。苗の成長とのかねあいで毎年田植えは5月の後半と決めているのですが、もう一つ理由があります。
フランス滞在中、アパートで同居していたソムリエの吉岡君がワインの産地を巡る旅に数週間出かけました。確かブルターニュ地方のレストランで働く予定をしていたようですが、何かの不都合でそのままフランスのワイン産地を巡り、再びアパートに戻ってきました。
話によるとフランスで最も厳格な有機栽培のぶどうはビオデダミという農法で栽培されているとのこと。それは月の満ち欠けや星座の位置で作業を決め、薬品を使わずワインを仕上げるというものでした。
とても興味深い話だったものの、その時はまだ農業をすると決めていなかったのでなるほどと聞いていましたがその後、以前に紹介したノルマンディーの農場に訪れた際、なんと野菜担当だったセドリックが同じ農法を実践していました。
これは月の満ち欠けの他に、特殊な堆肥や雑草を水に浸けた液を使うので現在無肥料栽培というかたちをとっている僕とは少し違うのですが、日本の農事暦や南米などにも月の満ち欠けについて書いたものがあります。
世界の人々がまだ情報を共有していない時代にそのようなことが書かれるのは偶然ではないと思います。実際満月の次の日は作物がよくのびます。実は植物は夜に成長しているのです。このことは別の機会に紹介したいと思います。この経験から月と星座の関係が稲という植物に”いい影響”を及ぼしてくれるのが毎年5月の25日前後なのです。
ビオデダミを厳格に実践しているわけではないので、その効果を実感するまでにはいたりませんがとても印象的な体験で作業の予定が立てやすいことから種まきや田植えなどの重要な作業はそれにそって行っています。
そして今年もすべての田んぼの田植えが終わりました。田植えについて全く紹介できていませんが、ただひたすらまっすぐ植えることが大切でぐにゃぐにゃと曲がってしまうと後の作業が全てやりにくくなります。
まっすぐ前だけを見て田植え機を走らせます。
この20cmほどの苗が秋には穂を垂らします。種籾を播いてから約40日。小学校入学くらいでしょうか。これから水の加減や草刈りなど1枚1枚の田んぼを見て回ります。大雨の次の日などはせき止めた水の出口が決壊したりすることがあります。毎日足を運び異常がないか確かめます。そして日に日に成長してく稲を観察するのがたまらなく楽しいのです。